大豆に含まれている「レシチン」ご存知ですか?
畑の肉と言われる「大豆」をきちんと食生活でとっていますか?
今回は、大豆のレシチンはボケ・物忘れ・動脈硬化・肝硬変を改善する効果があるという大学農学部教授よりお話しを伺いました。
大豆や卵黄に多く含まれる「レシチン」とは
最近は健康に対する意識が高くなったためか
ビタミンやミネラル、たんぱく質などの
サプリメント(栄養補助食品)を生活の中に積極的にとり入れる人がふえているようです。
そうしたものが含まれた食品なども、あちこちで見かけるようになりました。
ですが
ビタミンやたんぱく質などと同じくらい重要な「レシチン」の名前だけは、なぜかあまり目にしません。
アメリカでは一大ブームにもなり、そのすぐれた薬理作用のため高い価値が認められていて、定番の栄養補助食品になっているのに不思議なことです。
レシチンとは、多くの食品に含まれている脂質の一種です。
とくにレシチンの合有量の多い食品として、
大豆や卵黄があげられることは知っている人も多いでしょう。
リン脂質であるホスファチジルコリン
より厳密には
レシチンとはリン脂質の一種
ホスファチジルコリンのことを指します。
もっとも、この定義は
研究者が用いる厳密なもので一般には、もう少し広く、その他類似のリン脂質を含んでいる混合物をレシチンと呼んでいます。
こうした呼び方の違いは、レシチンが初めて分離されたときに混合物であることがわからず、命名されたことによります。
市販の健康食品などはこの広い定義のレシチンになります。
大豆に含まれるレシチンは体の細胞を構成している
レシチンがなぜビタミンやたんぱく質のように重要かというと、動物や植物の細胞を構成する大切な分子だからなのです。
たとえば、人間の体はおよそ60兆個の細胞で構成されていますが、その細胞一つひとつをおおう、細胞膜とよばれる膜の主要構成成分の一つにリン脂質であるレシチンがあげられます。
また
レシチンは
生体内の多くの機能に不可欠に関与
しているのです。
ですから、もしレシチンが不足したら体を構成する細胞が、その機能を果たせなくなるので、全身の機能障害につながってきてしまいます。
大豆に含まれる「レシチン」の効果とは
レシチンについておこなわれてきた多くの研究から、レシチンが持ついくつかの薬理作用がわかっていますので、主なものを以下にご紹介します。
ボケ・物忘れ
最近
ボケの一つであるアルツハイマー型痴呆にレシチンが効くのではないかと、話題になり多くの研究が行われました。
これはアルツハイマー型痴呆の人の脳で
情報を神経細胞から神経細胞に伝達するアセチルコリンという物質が極端にへっていることが発見されたからです。
そこで、アセチルコリンを体内で合成するための原料を、効率のよい形で供給することができるレシチンが注目されたのです。
しかし残念ながら、
アルツハイマー型痴呆がすでに発症してしまった人たちに、レシチン中の成分ホスファチジルコリンを単独で投与した実験では、大きな改善効果は見られませんでした。
ですが、レシチンがまったく効果のないわけではないこともわかったのです。
記憶力に関して行われたほかの実験では、
レシチンを摂取していた人たちに明らかな効果がありました。
ですからレシチンは、
ある程度までは確かに人間の脳の機能を高めるのに有効に作用しているようです。
また、アセチルコリンの減少によって起こる神経症の一つ、晩発性運動機能異常症などが改善されることもわかりました。
したがって、
ボケや痴呆の予防、物忘れの改善に、レシチンを摂取すれば、何らかの効果は期待できます。
ボケや物忘れについてはこちらもご覧ください。
動脈硬化・コレステロール値の改善
レシチンには、血液中の
中性脂肪値やコンステロール値を下げて血清脂質の状態を改善する効果があることが研究により明らかにされています。
レシチンが、
このような作用を持つのは
水と油を結び付ける「乳化作用」をもっているためで、血液中の油であるコレステロールなどを水である血液と結びつけて、血管の中を流れやすくするからです。
また、レシチンの分子の中に含まれる
リノール酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸にも、動脈硬化を予防する効果があることが知られています。
動脈硬化・コレステロールについてはこちらもご覧ください。
中性脂肪値やコレステロール値が高いのは、動脈硬化を進行させる大きな原因となります。
ですから
これらを下げるレシチンをとれば、動脈硬化の予防になるといえます。
動脈硬化・コレステロールについてはこちらもご覧ください。
肝硬変・肝臓疾患・脂肪肝の予防
脂肪やアルコールの過剰摂取は
肝臓にコレステロールをため
脂肪肝の原因になりますが
乳化作用のあるレシチンを飲むことで
コレステロールがたまることを予防できることがわかっています。
また、過度のアルコールの摂取は
肝細胞を傷つけて繊維質に変質させ
肝硬変の原因になりますが
レシチンをいっしょに摂取すればそのリスクが大幅に下がる実験結果もでています。
いずれの肝臓疾患もひどくなると、肝臓ガンにまで発展することがあるだけに、お酒が好きだけれど、不安がある人には朗報だといえるでしょう。
ちなみに、レシチンが不足した場合
まず最初に肝機能に障害が現れます。
これは、肝臓にレシチンが最も多くふくまれていて、全身にレシチンを供給する機能があるためです。
肝硬変・肝疾患についてはこちらもご覧ください。
肌をきれいにする・肥満防止
レシチンのもつ乳化作用は
脂溶性のビタミンであるビタミンA、D、E、Kなどを飲むときにも、効果を発揮します。
脂溶性のビタミンは水に溶けにくいため
体内には吸収されにくいのですが
レシチンを飲むことで吸収されやすくなるのです。
また、乳化作用は血行をよくするので
肌は栄養に富み、若々しいものになります。
おもしろい研究結果として
レシチンが肥満防止にも効果があることが発表されています。
これは、レシチンに含まれるリン脂質の一成分、ホスファチジルイノシトールが脂肪組織の重量を抑制するのです。
美容に熱心な方は、試してみる価値もありそうです。
美肌や肥満防止についてはこちらもご覧ください。
大豆のレシチンは体を健康にする
以上のように
レシチンにはさまざまな効果があり
細胞から体を健康にしていく作用があります。
では、レシチンは一日どのくらい摂取するべきなのでしょうか。
実は、この問いに対するハッキリとした答えはわかっていません。
健康な人ならホスファチジルコリンが1.5~6.0g程度必要だといわれていますし、バランスのとれた食生活をしていれば十分だといわれています。
ですが、先に述べた薬理作用を期待する場合はどのくらいの分量でいいのか、わかっていないのです。
ですから、もしなにかの効果を期待するのであれば、その必要に応じて少し多めにとるようにすればいいのではないでしょうか。
レシチンのとりすぎが、体に悪い影響を与えることはないので、とりすぎの心配はないでしょう。
最近の日本人の食生活は
レシチンの摂取という点からみるとけっして好ましいものではないようです。
昔ほど大豆を食べませんし
コレステロールが多いといって卵を敬遠するようになっています。
さらに、食卓を加工食品が陣取るようになっています。
レシチンは高熱の処理には弱いので、加工食品などでは多くがこわれてしまうのです。
健康を気にしている人も
そうでない人も食生活を見直し
積極的に大豆のレシチンをとることが大切ではないでしょうか。
まずは、市販のサプリメントで試してみて体に良いと感じるようでしたら続けてみてはいかがでしょうか。
大豆の効果についてはこちらもご覧ください。
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