「しまった。どうやら風邪をひいたらしい」
そう思ったとき、みなさんはどんな対策をとるでしょうか。
最も多いのは、おそらく風邪薬を飲むことでしょう。
今回は、風邪やインフルエンザの画期的な撃退法!濡れマスクの効果と作り方についてお話しします。
自然治癒力で風邪を治したい
毎年5~6回、決まって風邪をひいていた私も、以前はすぐに薬を飲んでいました。
私の場合、風邪をひくと、最初の2日ほどはのどが痛み、次いで鼻水が出てきます。
4~5日たつと、今回はタンが出ます。
結局、10日くらいは風邪薬の世話になるのが常でした。
これで、風邪はなんとかおさまるものの、今度は風邪薬で胃をやられ、胃薬を飲むはめになります。
さらに、風邪が完全に治るころには、歯ぐきが腫れてくるのです。
風邪をひくたびにこの経過をくり返していた私は、やがて、ある疑問を抱くようになりました。
薬を飲まずに、別の方法で風邪ヘの抵抗力を高めることはできないだろうか、と思ったのです。
たとえば、風邪のときに発熱するのは、ウイルスに対する防衛反応の一つです。
無理に解熱剤で熱を下げると、逆効果になる場合もあるのです。
実際に、小児科医による調査で、風邪のときに解熱剤を使うと、治るのにかえって時間がかかるという結果も出ています。
また、インフルエンザワクチンについては、その効果に大きな疑問が残るうえ、危険な副作用を指摘されています。
「むやみに風邪薬やワクチンに頼ってはいけない。自然治癒力を最大限に生かして風邪を撃退する安全な方法を探そう」そう思ったのです。
睡眠中に上気道を潤す方法
まず、最も重要なポイントは、鼻からのどの入口までの上気道に「湿りけ・潤い」を与えることだと考えました。
多くの方に体験があると思いますが、一般に、のどや鼻が乾くほど風邪をひきやすく、その症状もひどくなりやすいものです。
私たちの細胞は、水分が乏しいとうまく働けません。
十分な水分があれば、細胞が活性化され、風邪ヘの抵抗力も保ちやすいのです。
日中、私たちは、飲食物や唾液を飲み込む「囃下(えんげ)」の動作で、無意識のうちにのどをうるおしています。
これによって、のどの細胞がうるおされると、ウイルスなどから体を守る免疫物質を含む粘液が活発に分泌されます。
したがって、囃下(えんげ)を活発に行う日中は、のどに風邪のウイルスが取りつきにくく、増殖しにくい条件が整っています。
多少ウイルスが増殖しても、喩下により、ウイルスを食道へ飲み下して無力化できます。
ところが、睡眠中は、こうした囃下の動作が行われません。
睡眠中は食事を行わず、唾液などの分泌作用も低下するので、囃下はさほど必要なくなります。
そこで、体の活動を支配する自律神経が、休息時の体制に切り替えられ、囃下は行われにくくなるのです。
風邪によるのどの痛みや鼻づまりなどに、起床時に気づくことが多いのもそのためです。
睡眠中は、風邪に対して非常に無防備な状態というわけです。
実際に調べてみると、風邪の症状は睡眠中に本格化するケースが圧倒的に多いことがわかりました。
そこで、風邪を防ぐには、睡眠中、嚥下(えんげ)に代わって上気道をうるおす方法が必要です。
濡れマスクの作り方
簡単に効果的に上気道をうるおす方法はないかと、試行錯誤をくり返しました。
加湿器も使ってみましたが、上気道がうるおうほど加湿しようとすると、部屋や寝床がびしょびしょになってしまい、うまくいきませんでした。
そこで思いついたのが、マスクをすることでした。
最初は、睡眠中に普通にマスクをかけてみましたが、のどはうるおせませんでした。
次に、マスクをぬらしてかけたところ、ぬらして通気性が低くなったせいか、息苦しくて無意識のうちにはずしてしまいました。
さらに、いろいろと試した結果、装着しやすく、息苦しくなく、しかも上気道が効果的にうるおせる方法です。
それは、ぬらしたマスクの上3分の1を折り返し、鼻の下に当てる方法です。
具体的には、次のように行います。
使うマスクは、特殊なものでなく、ごく一般的なものです。
薬局やスーパーマーケットなどで、100円前後で売っている、本綿ガーゼのマスクでけっこうです。
そのマスクを、まず水で(冬はお湯で)ぬらします。
水分をたっぷりふくませるほど、上気道をうるおす効果が高まります。
とはいえ、あまりビショビショでは枕元がぬれてしまいますから、したたらない程度にしぼってください。
そして、マスクの上3分の1を折り返します。
折り返した部分を外側にして鼻の下から口にかけて当て、ゴムひもを耳にかけます。
このようにすると、鼻で自由に呼吸ができ、鼻の下には折り返して厚くなったマスクがきます。
そのため、マスク中の水分を水蒸気として鼻から吸い込むことになります。
この濡れマスクを一晩かけて寝たところ、熟睡できるうえ、起きたときにのどの具合がたいへんよいことに気づきました。
これはよさそうだと、何ヵ月か続けてみました。
すると、いっしょに働いているスタッフが、
「最近風邪をひかなくなりましたね」というではありませんか。
いわれてみると、半年ほどたつのに、風邪薬がほとんどへっていないのです。
その後も濡れマスクをして寝ることを続けたところ、風邪をひくのは年1~2回になりました。
風邪をひいても、非常に軽くてすみます。
朝、起きたときに多少のどが痛むものの、食事をしたりしているうちに忘れ、治ってしまう程度の風邪なのです。
睡眠中に、濡れマスクでのどと鼻の粘膜がうるおされ、風邪ヘの抵抗力が高まったことは間違いありません。
濡れマスクの効果とは
この方法は、歯科治療に見える患者さんたちに協力してもらい、濡れマスクの効果に関するアンケート調査が行われました。
風邪をひきにくくなった
その結果、大部分の人が
「風邪をひいても症状が軽い」
あるいは
「以前より風邪をひかなくなった」
と答えています。
咳や痰が出なくなった
また、「口のまわりがカサカサしなくなった」という回答も比較的多く見られました。
これは、濡れマスクによって口の周囲にもうるおいが与えられるためです。
このほか、タンやセキが出なくなった、声がれが治ったなどの声もあります。
慢性気管支炎やぜんそくについても、濡れマスクで症状をやわらげたり、予防したりする効果が期待できます。
いきなり治すというわけにはいきませんが、続けていると、徐々に改善効果が得られるはずです。
唇や口のかさつき防止
濡れマスク法は、種々の害がある「口呼吸」の防止にも力を発揮します。
「口呼吸」とは、文字どおり口で行う呼吸です。
私たちの体は、本来、鼻で呼吸するようにできています。
鼻で呼吸すれば、吸気のほこりなどが除かれ、適度な温度と湿気が与えられます。
ところが、口で呼吸すると、口や口の周囲が乾燥して、抵抗力が落ち、くちびるのかさつきやひび割れ、口角炎、口内炎、歯肉炎などを招きやすくなるのです。
口呼吸は、一種の「クセ」で行っているケースが大半なので、濡れマスク法を行うと、以外と簡単に矯正できます。
濡れマスクは、夜中に乾いてしまうこともあります。
できれば、小さな容器に水を入れて枕元に置いておき、目覚めたときにもう一度ぬらして使うとより効果的です。
使ったマスクは、朝、石けんをつけてもみ洗いし、乾かしてください。
2~3個のマスクを用意して、交代に使うと衛生的です。
鼻がつまっているとき、濡れマスクで口をおおうと息苦しいのではないかと心配される方もあるでしょう。
しかし、カゼによる鼻づまりは、寝床で体が温まると軽くなります。
濡れマスクから出る水蒸気も鼻づまりの改善に役立ちますので、実際は鼻づまりが濡れマスクの使用にさしさわることは少ないのです。
もし、どうしても息苦しければ、濡れマスクを下くちびるからあごにかけて当てる方法もあります。
こうしておいて、鼻が通ってきたら、本来の濡れマスク法を行うとよいでしょう。
濡れマスク法は
妊娠中の女性やお子さんなど、風邪薬を飲まないほうがよい人たちに、とくにおすすめします。
必要に応じて、風邪の予防や初期の治療に、ぜひお役立てください。
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