煮干しは、私たち日本人にとってたいへん身近で、しかも栄養価の高い食品です。
とくに、日本人に不足がちなカルシウムのすぐれた供給源となります。
今回は、カルシウムが豊富に含まれた酢煮干しは動脈硬化の予防や血圧の改善に効果が大きいと話される大学教授よりお話しを伺いました。
酢と煮干しでカルシウムを吸収
日ごろの煮干しの利用法といえば
「ダシをとって捨てるだけ」という人が多いのではないでしょうか。
こういう使い方だけでは、煮干しのよい点が十分に生かせません。
そこで、おいしく無理なく煮干しをとって健康管理に役立てるために、ぜひおすすめしたいのが「酢煮干し」を作ることです。
酢煮干しとは、
文字どおり酢に漬けた煮干しのことで、家庭で簡単に作れます。
酢に漬けると、煮干しのカルシウムはぐんと吸収されやすくなります。
ですから、手軽にとれるカルシウム源として最適です。
カルシウム不足は成人病・動脈硬化・脳梗塞に発展する
カルシウムが不足すると
骨がもろくなって骨粗鬆症の危険が高まるのはもちろん、いろいろな成人病のもととなる動脈硬化が進みやすくなります。
動脈硬化・コレステロールについてはこちらもご覧ください
私たちの血液中のカルシウムは、絶えず一定の割合に保たれています。
食事でとるカルシウムが不足すれば
副甲状腺(ふくこうじょうせん)ホルモンの働きで骨からカルシウムが溶け出して、血中に補給されます。
こうして、骨のカルシウムが溶け出し始めると、急には止まらず、やがて溶出が過剰になってきます。
その分は、血管壁に付着してしまいます。
その結果、カルシウム性の動脈硬化が起こり、血管壁がガチガチに硬くなってしまうのです。
カルシウムが不足すると
血圧が上がることもわかっています。
その意味でも動脈硬化が促進されます。
カルシウム不足は、
二重の意味で動脈硬化や、それによる心臓病や脳梗塞などの危険を高めるわけです。
このほか、カルシウム不足がイライラを招くことも知られています。
カルシウム不足によるこうした事態を防ぐために、大いに役立つのが酢煮干しです。
では、酢煮干しの作り方をご紹介しましょう。
いくつかの作り方があるようですが、参考までにご説明します。
動脈硬化・コレステロールについてはこちらもご覧ください
酢+煮干しの「酢煮干し」の作り方
①煮干しの頭と内臓を取る
頭をちぎり取り、手で腹を裂いて内臓を取ります。
頭と内臓は、取らなくても効果に変わりはありませんが、残しておくと生ぐさくなるので、できるだけ取るほうがよいでしよう。
②軽く炒る
フライパンで、①の煮干しを香ばしいにおいがするまで炒ります。
煮干しの中のカルシウムは、コラーゲンというたんぱく質と結合しています。
炒ると、生ぐさみが消えると同時に、コラーゲンが変化してカルシウムが溶け出しやすくなります
③びんに煮干しを入れる
適当な大きさでふたのあるびんに、半分くらいまで煮干しを入れます。
煮干しの量にもよりますが、ある程度まとめて作るには、インスタントコーヒーのいちばん大きなびんが便利です。
④酢をそそぎ入れる
酢は、米や玄米などの穀物を原料にして作られた酢を使ってください。
「純米酢」など、商品名に「純」とついていれば、アルコール添加のない酢ですから、より好ましいでしょう。
⑤冷暗所に保存する
日光の当たらない冷暗所あるいは冷蔵庫に置きます。
途中でまぜると酢が濁るので、そっとしておきましょう。
一週間くらい置くと、味に丸みが出ておいしくなります。
酢+煮干しの「酢煮干し」の摂り方
こうして作った酢煮干しは
一日に5~6匹ずつ食べると、日ごろのカルシウム補給のために効果的です。
そのまま食べてもおいしいですが
大根おろしやなめこなどとあえ
おかずとして食べるのもよい方法です。
一方、煮干しを漬けた酢も
煮干しのカルシウムがかなり溶け出していますので、やはりすぐれたカルシウム源になります。
この酢には、うま味成分であるイノシン酸がたっぷり溶け出しているため、しょうゆ代わりにおひたしや大根おろし、冷ややっこ、さしみなどにかけるとおいしいものです。
とくに、減塩が必要な高血圧の人に、おすすめしたい利用法です。
酢には殺菌力があるため、夏でも常温で一ヵ月は安心して保存できます。
三ヵ月くらいまで使っても、なにも問題ありませんでした。
酢の効果についてはこちらもご覧ください
大きな容器のままでは使いにくいので
小さな容器に小出しにし
酢はしょうゆさしなどに入れて使うと便利です。
手軽に作れて、おいしく食べられ
骨粗霧症や動脈硬化の抑制に役立つ酢煮干しを、ぜひお試しください。
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