イチョウ(銀杏)の葉が体にとって良い薬効があること知っていますか?
わが国では、お寺や神社、学校などにイチョウがよく植えられ、都会の街路樹としてもおなじみです。
イチョウ(銀杏)は、恐竜が活躍したころから存在するとても古い樹木で、恐竜を絶滅させた激しい環境変化にも耐えてきた、旺盛な生命力を持っています。
今回は、「イチョウの葉」は脳の血液をサラサラにし動脈硬化を予防する!についてお話しします。
イチョウ(銀杏)の葉の薬効とは
そのイチョウの葉が、
ドイツの生薬メーカー・シュワーベ社によって薬効が明らかにされてから、にわかに注目されるようになりました。
シュワーベ社は
日本のイチョウの葉を輸入してエキスを抽出し、それをネズミに注射する実験を通して、全身の血流を改善する著しい作用を発見したのです。
そして1965年から、「脳および末梢循環の障害」に用いるエキス剤として発売を開始しました。
その後、中国では狭心症や心筋梗塞の薬として用いられるようになったのです。
一方、ヨーロッパの中でも特に
ドイツやフランス、イタリアで
イチョウの葉に脳の血流改善作用があり、多発梗塞性痴呆(小さな梗塞がくり返し起こることによって起こるボケ)に有効であることが判明しました。
そして、脳梗塞そのものやそれが引き起こすボケを予防する老人保健薬として大人気を博しています。
また、多くの病院や施設で二重盲検法(医師と患者の双方が真の薬か偽薬なのかわからないようにして効果を判定する方法)による厳密な試験が行われ、その有効性が確認されています。
動物実験でも、あらかじめイチョウの葉のエキスを投与しておくと、虚血後再環流(きょけつごさいかんりゅう)(後述)による細胞死が予防され、延命率の高いことが証明されています。
血管がつまって血液が流れなくなり
その先の臓器や組織に起こる酸素欠乏状態を虚血といいます。
虚血による障害は細胞死として現れます。
脳でこの細胞死が起こる前に血流障害が除かれ、虚血の部分に酸素が送られると、正常に回復したように見えます。
しかし約一週間後、虚血だった部分に細胞死が広く起こります。
これを虚血後再環流による細胞死といい、活性酸素(反応性の強い酸素分子)の作用によるものと考えられています。
脳梗塞の改善や予防についてはこちらの記事もご確認ください。
イチョウ(銀杏)の葉にある有効成分の二大作用
では、イチョウの葉のエキスに脳梗塞の予防効果が期待できるのはなぜでしょうか?
それは、テルペンラクトンと総称される有効成分が含まれているからです。
この有効成分は血小板活性化因子(けっしょうばんかっせいかいんし)と対抗して、その働きを抑える作用があります。
血小板恬性化因子(けっしょうばんかっせいかいんし)とは
体内の免疫(体に備わっている防衛機構)や炎症に関係する多種類の細胞や組織に病的な刺激が加わると分泌される物質です。
これが放出され、運ばれて、細胞の特定の位置(受容体)に結合すると、体に異常が発生しているという情報が伝えられて、血栓(血液のかたまり)が形成されたり、炎症やアレルギー、腎機能低下などの病的状況を引き起こしたり、状態を悪化させたりします。
流改善や血栓予防の「テルペンラクトン」
イチョウの葉のエキスに含まれるテルペンラクトンは、
放出された血小板恬性化因子(けっしょうばんかっせいかいんし)が結合する前に細胞の受容体にくっつき、異常発生の情報が伝わらないように作用します。
その結果、
血栓の形成や炎症の拡大が防止されます。
これが脳の血流改善や血栓予防の効果につながると考えられています。
さらに、ぜんそくをはじめとするアレルギー病の症状や腎炎などを抑える効果も期待できます。
テルペンラクトンはイチョウ葉のみに存在する成分で、ギソコリドA、B、C、Jなどの種類があります。
このうち、とくに強力に血小板活性化因子の働きを抑えるのはギンコリドBという物質です。
活性酸素を除去する作用
また、イチョウの葉のエキスには
活性酸素を除去する作用があることも実験で証明されています。
活性酸素の除去についてはこちらもご覧ください。
前述の虚血後再環流による細胞死だけでなく、脳梗塞の原因となる血管の動脈硬化などの老化も、実は活性酸素による酸化が元になって始まるのではないか、と見られています。
したがって
イチョウの葉は
・老化の大元である活性酸素の除去作用
・テルペンラクトンの抗血小板活性化因子(こうけっしょうばんかっせいかいんし)作用
との相乗によって、脳梗塞の予防効果が発揮されるものと思われます。
おわりに
元気な人がイチョウの葉のエキスを飲んでも効果がわかりにくいかもしれませんが、動脈硬化が進んだ人や多発梗塞性痴呆(たはつこうそくせいちほう)で脳の機能の低下した人が飲むと、確かな効果を実感されるはずです。
コメント