過労、ストレス、アルコールの飲みすぎ、薬剤の多用・・・。
現代社会には、肝臓をいじめる要因が満ちています。それだけに、現代人には肝臓が弱ってる人がふえているようです。
今回は、カワラヨモギは肝臓の働きを活性化させて黄疸やむくみも改善する強肝薬草についてお話しします。
カワラヨモギは黄疸やむくみ、肝臓病に効果がある薬草
肝臓をいたわり、回復させるには
まず上記のような要因をできるだけ減らすことが大切です。
それとともに、手軽にできる家庭療法としてぜひおすすめしたいのが、「カワラヨモギ」を活用することです。
カワラヨモギは
キク科の多年草で、日本では本州、四国、九州の岩場や河原、海辺に自生しています。
春の若葉は、普通のヨモギに似た葉で、白い綿のような毛が密生しているのが特徴です。
夏から秋にかけては、コスモスに似た細い葉が出てきて、秋に粟粒(あわつぶ)のような花穂(かほ)をつけます。
中国では、カワラヨモギを「因蔯(いんちん)」あるいは「因蔯蒿(いんちんこう)」と呼び、古くから黄疸やむくみ、肝臓病の妙薬として用いてきました。
その名前と効用は、中国最古の薬学書である『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』にも記されています。
カワラヨモギの薬効
そして、近代の中国薬学を集大成した
『中薬大事典(ちゅうやくだいじてん)』には
カワラョモギの薬効として
1.利胆(りたん)作用(胆汁の分泌を促して黄疸を予防・改善する作用)
2.肝炎の改善作用
3.解熱作用
4.細菌の繁殖を抑えて炎症や感染を防ぐ作用
5.血圧を下げる作用
6.血中コンステロール値の低下作用
などがあることが記載されています。
カワラヨモギは肝臓病に十分な効果がある
カワラヨモギ(因蔯(いんちん))は、生薬(漢方薬の原材料)の一つでもあります。
これを使う代表的な処方が「因蔯蒿湯(いんちんこうとう)」で、山梔子(さんしし)と呼ばれるクチナシの実と、緩下作用(穏やかに便通をつける働き)を持つ大黄(だいおう)と組み合わせています。
因蔯蒿湯(いんちんこうとう)は、漢方薬のバイブルともいうべき、「傷寒論(しょうかんろん)」などに記載されており、肝臓病と黄疸に高い効果を持つ処方として知られています。
患者さんの状態によって大黄(だいおう)の量を減らしながら、この処方をよく用いるのです。
すると肝炎の患者さんや肝臓が弱った患者さんの、黄疸やむくみが効果的に取れるケースをよく耳にします。
カワラヨモギの効果についてはこちらもご覧ください
肝臓が弱ると、最初の兆候は
疲れやすさ、だるさ、むかつき・吐きけ・食欲不振といった胃腸症状、皮膚のかゆみなどが現れますが、これらも因蔯蒿湯(いんちんこうとうによってすみやかに改善できることが多いのです。
漢方薬に用いる因蔯(いんちん)として、日本では秋に採取されるカワラヨモギの花穂を、中国では綿因蔯(めんいんちん)と呼ばれる若葉を用いるのが一般的です。
薬草茶の飲み方
しかし、家庭療法としては
春から秋に全草を採取して陰干しし、それを煎じてお茶として利用すればよく、それで十分な効果が期待できます。
一般に、こうした薬草を煎じて飲む場合
水が3分の2から半量くらいになるまで煎じるのが基本的な方法です。
しかし、ふだん番茶代わりにたっぷりの量を手軽に飲みたい場合や、濃く煎じたものが飲みにくいという場合などは、一ℓの水に自分の手で一つかみ(10~15g)の乾燥させたカワラヨモギを入れて火にかけ、煮立ったら弱火にして合計12~13分煮出す方法でもよいでしょう。
カワラヨモギは、もちろん肝炎などと診断されたときにも、病状の改善のために役立ちます。
カワラヨモギの効果についてはこちらもご覧ください
ただし、この場合は医師による治療や検査を受けながら、家庭療法としてカワラヨモギを利用してください。
カワラヨモギが入手できないときは、漢方薬局で相談して、因蔯蒿湯(いんちんこうとう)を処方してもらい、それを代わりに用いるとよいでしょう。