モロヘイヤは知っていますか?
モロヘイヤは栄養素が高く体に良いことが分かっています。
では、どのような栄養があり、どういう効果があるのでしょうか。
今回は、「モロヘイヤ」はアレルギーや成人病に効く免疫力を高める野菜についてお話しします。
カロチンの量はニンジンの1.5倍!
モロヘイヤは、ここ2~3年、急速に、日本人に身近な食べ物になってきました。
モロヘイヤの生葉や、それを乾燥し粉末にしたもの、あるいはモロヘイヤ入りのパンなどの加工食品は、いまやスーパーで手軽に買い求めることができます。
そもそもモロヘイヤは、熱帯地域によく生育するため、エジプトを中心として、中東、アフリカ、インド、フィリピンなどで栽培されてきました。
モロヘイヤの葉の栄養価が高いことは、かなり昔から経験的に知られていたようです。
エジプトでは、王様の病気を救ったという故事から「王様の野菜」といわれていますし
フィリピンの先住民族であるイロカノ族の間では、モロヘイヤを食べると長生きできるとか、便秘や目の病気、体の毒素を取るのによいといい伝えられています。
そうした故事やいい伝えは、決して誇張とはいえません。
モロヘイヤの栄養素
モロヘイヤの葉には
・カリウム
・カルシウム
・βカロチン
・ビタミンB1、B2、C
など、大切なミネラルやビタミンがバランスよくふんだんに含まれていることが、科学的な分析によって明らかにされています。
ここで目をひくのは、βカロチンが多いことです。
βカロチンは、老化防止やガンの予防に役立つとされる注目の栄養素です。
一般的には、緑黄色野菜、とくにニンジンに豊富なことが知られています。
ところが、モロヘイヤにはそのニンジンの約1.5倍の量のβカロチンが含まれているのです。
そのほか、日本人が唯一、所要量を満たしていないカルシウム(国民栄養調査による)や、なかなか摂取しにくい栄養素であるビタミンB群(とくにビタミンB2)が多く含まれていることも、モロヘイヤの大きな特長といえるでしょう。
モロヘイヤの食物繊維
このように、栄養価の高いことでは数ある緑黄色野菜の中でも際立っているモロヘイヤですが、私がとくに注目しているのは、「栄養素にあらざる栄養素」といわれる食物繊維についてなのです。
モロヘイヤの葉を煮たり、たたいたりすると、ぬめりが出てきます。
また、モロヘイヤの乾燥粉末は、水に溶いただけでもドロドロとして、ちょうどくず湯のような感じになります。
このぬめりの正体は食物繊維、より正しくいえば水溶性粘性多糖(すいようせいねんせいたとう)と呼ばれるものなのです。
食物繊維は
消化管の中で消化されることはありませんが
体に有害なものを吸着して、体外に排出させたり、便通を整えたりする生理作用を持っています。
そして、このことが間接的に大腸ガンの予防に役立つなど、人体にとって大切な役割を果たすのです。
モロヘイヤの効果についてはこちらもご覧ください
高コレステロールや脂質を低下させ成人病を予防
ところで、粘りけを持つ水溶性の多糖は、モロヘイヤ以外にも数多く知られています。
そして多くの場合
これらの水溶性の粘性多糖が
血液中の高コレステロールや脂質を低下させたり、血糖値を下げたりして、成人病予防に有効であることがわかっているのです。
残念なことに、水溶性の粘性多糖の多くが持つこうした生理作用を、モロヘイヤのぬめり成分にもあるかどうかは、まだ研究が進んでおらず、確認されていません。
けれども、ある程度までほかの研究成果から推測することができます。
モロヘイヤの効果についてはこちらもご覧ください
モロヘイヤの多糖の構造を見てみると
植物のアオイ科(ハイビスカスなど)の仲間の葉から抽出された多糖に、実によく似ています。
このアオイ科の仲間から抽出された多糖
前述のように、高コレステロール値や血糖値を低下させる作用のあることが報告されています。
そこで私は、おそらくモロヘイヤに含まれている粘性多糖も、血液中の高コンステロールや脂質を減少させ、また血糖値の上がるのを抑えて、成人病の予防に有効に働くのではないか、と考えています。
モロヘイヤは免疫力を高める!?
また、これは実験ですが
モロヘイヤには、免疫力(細菌やウイルスなどの病原体を打ち負かす働き)と関係のあるリンパ球の分裂を促進させる作用があります。
つまり、モロヘイヤには、人体の免疫力の働きを高める力があるのかもしれないのです。
今後、研究が進めば、いろいろなことがわかってくるでしょう。
もつとも、いかにモロヘイヤの栄養価が高いといっても、薬とは異なりますから、摂取してすぐその効果が現れるというわけではありません。
栄養面での効果を得るためには、食べやすい方法を工夫し、食べ続けることが大切です。
ちなみに私自身は、モロヘイヤの粉末やサプリを利用しています。
これなら四季を通じて使えて、いろいろな料理に応用できるからです。
粉末であれ生葉であれ、積極的に、いろいろな料理に試してみる姿勢が大切でしょう。
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